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疾患のご説明

disease

皮膚病を見る: 深さ

表皮 真皮 皮下組織

皮膚病を考えるに当たって、まず皮膚を大きく、浅いところと深いところに分けます。 

●皮膚の浅層=表皮と角質、粘膜、付属器。
上皮系組織から構築されます。主に外胚葉由来。

●皮膚の深層=真皮と皮下脂肪、血管や筋肉。
間葉系組織から構築されます。主に中胚葉由来。

皮膚のどの辺の深さに異常があるのか、見て・触って・考えれば、だいたい判ります。 

  • 湿疹・かぶれやシミ、イボは、表皮の病気 → 浅層性疾患
  • 蕁麻疹や膠原病、脂肪腫は真皮以下の病気 → 深層性疾患

深さによって、どんな治療が効きそうか、大ざっぱに目処がつきます。

  • 浅層性疾患 → 外からのアプローチ:外用薬=ぬり薬、冷凍、レーザー、…
  • 深層性疾患 → 内からのアプローチ:内服薬=のみ薬、局所注射、手術、…

深さの境界は「表皮・真皮境界部」に置きます。ぬり薬がよく効くところまで、です。 すると偶然かもしれませんが、組織学的な構築・発生学的な由来にも違いがあります。 

このように「形」から入るものごとの考え方を、形態学と言います。 

  • 解剖学←肉眼、
  • 組織学←顕微鏡、
  • 発生学←時系列、… 

形態学にもいろいろあって、そのすべてに習熟することが求められてくる所以です。 

皮膚病を探る: 免疫

皮膚病

皮膚病を探っていくために、次に生体を外敵から防御する機構=免疫系を考えます。 

  • ●炎症性疾患=免疫系が、けっこう大活躍な感じの疾患。火事のようなもの。
  • ●形成性疾患=免疫系が、わりあい無関心な感じの疾患。事故のようなもの。

皮膚の何が異常なのか、見て・触れば、けっこう判ります。そして、よく考えます。 

  • 湿疹や乾癬、蕁麻疹や蜂巣炎は、荒れたり赤く腫れたり → 炎症性疾患
  • イボや皮膚がん、アザや白斑は、何か増えたり減ったり → 形成性疾患

見た感じの性質に応じて、どんな治療なら効きそうか、大ざっぱに目処がつきます。

  • 炎症性疾患 → 内科的・薬物的治療:ぬり薬、飲み薬、注射薬、光線、…
  • 形成性疾患 → 外科的・手術的治療:剥削、冷凍、レーザー、切除縫縮、…

生体が病的な状態に陥った場合、まずは外敵の存在を疑って、免疫系が反応します。 ただし真の敵がいなかったり、敵が身中にいたりすると、免疫自体が厄介です。 そこには生物学的な活気に満ちた、火事にも似た熱い闘いが繰り広げられるのです。

異常な細胞の増殖=腫瘍はそれだけで病的ですし、組織は正常でも過剰は困ります。 細胞が正常でも数や機能が足りなければそれもまた、免疫と関係なく病気です。 あくまで物理学的な多寡を中心に、事故とも呼べる不運が怜悧に展開していきます。

以上、免疫系の発動の有無に応じて、病気を炎症性と形成性に二分したくなります。

免疫系は多種多様な細胞のネットワークからなる、微細ながら壮大な生体機構です。 その発動や異常があるのかないのか、そう簡単には判りません。で・す・が。 
少なくとも、それを担当する細胞を。組織学=顕微鏡的に見分けることが可能です。 一方でたとえば、腫瘍細胞もまずは組織学的に、正常の細胞から区別できます。 正常組織に比べてどこが異常そうなのか、肉眼で判らないことがわりあい判ります。 
こんなところにも、形にこだわり続ける皮膚科の一面が現われている、とも言えます。

皮膚病を四つ: 形態

皮膚病四つ

あらゆる皮膚疾患を、上記二つの軸を掛けて、四つに仕分けしてみます。 

  • ●浅層炎症性: 湿疹・かぶれ、水虫、疥癬など。乾癬や水疱症、ニキビも含む。
  • ●深層炎症性: 蕁麻疹・痒疹、蜂巣炎など。膠原病や血管炎や肉芽腫症も含む。
  • ●浅層形成性: いぼ、皮膚癌、やけど、シミ・アザ、白斑など。魚鱗癬も含む。
  • ●深層形成性: 脂肪腫、ケロイド、床ずれ、黄色腫など。リンパ腫なども含む。

おもに視覚情報=形態に頼って、かなり背反的に「疾患の主座」を分類できます。 

分類は治療方針に直結するので、わたくしたち実地医家にとっては役に立ちます。 

  • 浅層炎症性 → 抗炎症薬、抗菌薬、… を塗ってみよう。
  • 深層炎症性 → 抗炎症薬、抗菌薬、… を飲んでみよう。
  • 浅層形成性 → 液体窒素、紫外線、… を当ててみよう。
  • 深層形成性 → 手術、抗癌薬など、… を試してみよう。

形態学すなわち、見て・触って・考えれば、思いがけずいろいろなことが判ります。 敢えて言ってしまえば病名を知らず診断がつかなくても、治療はできてしまいます。 
それで良いならよし。皮膚科専門医は重ねて、四つに組んでは取組続けるのです。

皮膚病を分つ: 分類

真菌・細菌・ウイルス

形には何か意味があるはずだと思いつき、考え始めれば決して終わりはありません。

●原因に基づく分類:
生物(真菌・細菌・ウイルス)、化学物質、物理侵襲(外力・温度・光線)、…
●機構に基づく分類:
アレルギー、水疱症、膿疱症、炎症性角化症、膠原病、母斑、沈着症、萎縮症、…
●組織に基づく分類:
表皮、付属器(爪・毛・毛包脂腺・汗腺)、結合織、脈管、神経、リンパ系、…
●遺伝に基づく分類:
常染優性・常染劣性・伴性劣性、
染色体異常:欠失・逆位・重複・転座・倍数・異数、
遺伝子変異:ポイント・ミスセンス・ナンセンス・フレームシフト、…

遺伝というと親の因果が子に報い、といった負の印象を抱きがちでしょうか。 
でも遺伝子という生物化学物質自体は、もっと中立的ななにか、なのだと思います。 
病気の原因遺伝子を特定しようというのは、最近の医学のひとつの流れです。 皮膚科の病気なら色素性乾皮症が有名です。その研究は確実に進歩に繋がりました。

しかしそれが「遺伝が原因」にまで行ってしまうと、何か違うようにも感じるのです。 
現状では遺伝子が何をしているかさえも、理解に微妙な部分があります。おそらく、何かをひとつ特定できたらそれで全て判った、というほど病気は甘くないのでしょう。

遺伝子は単に子孫に伝えられる情報という以上に、生物の本質に関わっていそうです。 そしてその物質自体に、思いもよらないほどの柔軟性や可塑性もあるらしいです。 
そもそも遺伝子の変異こそが、生物の「進化」の本態だとも言われているものですし。 

病気を「何かのせい」にしたくなるのは人情だし、治療に繋がるので大切なことです。 
しかし病気の真の原因はそう簡単でないことも多く、思い詰めるのは体に毒です。

だからとりあえず、水虫なら「真菌」という悪者がいるからやっつけてみよう、という原因指向の感染症の治療と、一方で蕁麻疹なら「ヒスタミン」という物質が痒みのもとらしいから抑えてみよう、という機構指向の対症療法と、どちらも素晴らしく良く効く(ことが多い)のですが。 
蕁麻疹の真の原因は不明ですし、水虫のほうも、菌がくっついてもうつらない人もいるので真の原因は何でしょうか。 

だからこそ、最先端にこだわらない虚心坦懐なる観察と分類、を皮膚科は重視します。 

ともあれ、真の原因 Why が判らなくても、何がどう How なっているのか、という病気の機構(メカニズム)が判ることが、まず最初の大きな一歩=進歩なのです。 
進歩は続けたいものですが、科学技術において進歩は絶対善の同義語ではありません。 知らないほう良かったとか。そういう多面性にも常に留意していきたいものです。